top of page
検索

BIM導入の経緯3

  • 執筆者の写真: OCHII JUNICHI
    OCHII JUNICHI
  • 2021年4月16日
  • 読了時間: 4分

みなさま、こんにちは。


前回はBIM導入によって、最大1/3の工数に削減できたと言うデータをお示ししました。

また、それまでの実情について詳しくお話しました。


今回は、BIMを導入してからどのような問題が発生したか、どう業務が変わったかを

主にお話していきたいと思います。


Revit導入・運用初期の問題

コストの問題、実績の問題があり、当初は1ライセンスでの運用でした。

先日の記事に延べたCADでの問題はほぼ解消できたのですが、

BIM特有の新たな問題がありました。


①1ライセンスですので、自分の担当している物件は1人でこなさなければなりません。

②CADの延長線上で考えていたのですが、もっと大きなギャップがあることに気づきます。

③BIMアレルギーの存在(固定概念はなかなか他人からの要求では打破できない)

 

①の問題について

工数が1/3になるという結論を知っているのと、知らないのとでは大きな違いがあります。

当時、私はこの結論にはまだ到達できていませんでしたので、とても大きなプレッシャーと不安がありました。

結論を御存知の通り、1/3の工数なのですから、担当案件を1人でこなすのは全く問題なくできました。

ただ、まだまだ経験がありませんでしたので、モデリング1つとっても手探りが多かった時期です。特筆すべきは手探りな状態でも、1/3工数で完遂できている点です。


②の問題について

導入初期はどうしてもCADと比べてしまいます。CADの絵とBIMの絵を比べてしまうのですがBIMでは不得意な事、できない事が多々あります。(逆も多々あります。)

この問題の本質は「やらない事」を整理する。「変える事」を決めることにあるのですが、そこになかなか気づけずに、兎に角RevitでCADの様に「作図する」と言う意識でした。


数棟こなす中で、当たり前ですがBIMには「モデリング」の作業と「図面化」の作業が在ると明確に意識するようになりました。

※正確にはモデリングしか存在せず、図面はモデルの検証に過ぎません。


「モデリング」しないと「図面化」できないのですが「モデリング」したければ3次元的な要素の捉え方が必要になります。

今までなんとなく配置していたキッチン等は、品番なりメーカーなり、ある程度決めないと事が前に進みません。他にも多くのことをCADの設計に比べ前倒しで決めていきます。


Revitのセールストークに設計を「フロントローディング」という言葉があったのですが、まさにそれです。「今決めないで良かったことが、今決めるべきことに変わっている」と言うことは、「設計のプロセスを見直す」と言う事です。

この問題は非常に大きい。設計プロセス変更は施主との打合せ内容等、影響が業務の多岐にわたります。


右図はBIMとCADの作業負荷のイメージです。案件初期はフロントローディングによる影響でBIMの作業には大きな負荷がかかります。対して、後半、作業負荷はかなり減ります。

CADの曲線とは真反対なので、BIMとCADをやっている人間の感覚に大きな隔たりができるのです。これは経営者、マネジメント層の人間は理解していなくてはBIMの導入はできても運用はできないと言うことにつながります。


当時の対処法ですが

結局、BIMで表現できないことは、無理にやらないことにしました。

プロセスの変更は1人で2~3案件処理できるようになっていましたので、事務所内の問題にまでは発展していません。ただし、所員、所長にはBIMのプロセスについては説明し、理解してもらいました。


③の問題について

BIMで実績がでてくると、ライセンスを増やしていこうと言う話になります。

今までの3倍以上の業務遂行能力があるわけですから、事務所としてもライセンスを増やしたほうが良いと言う話になります。


ところが、やはり長年使い続けたCADから脱却できない人は居ます。

加えて②の問題にあった、プロセス変更に馴染めない人も居ます。

ですので、BIMの導入・運用は1人でやるより組織でやる方が格段にハードルが高いと言えます。


BIM導入に賛同が得られなかった場合、無理にBIMの作業を強いても良い結果は得られません。CADと違いソフト自体が複雑なので本人のやる気がないとソフトを使いこなすことができず、工数の削減どころの話ではなくなります。

最悪、退職者がでる事態にも発展する可能性すらあります。


結果的に、BIMに賛同を得られた所員を加えて2ライセンスの運用になりました。

それで当時は十分です。BIMだけで同時に6案件こなせてしまうのですから、自然とBIMチームとCADチームに分かれます。


BIMにはBIMに適した案件、CADにはCADに適した案件と言うように自然と住み分けができるようになります。

 

終わりに

3回にわたりBIM導入の経緯をお話してきましたがいかがでしたでしょうか。


ご質問、感想などありましたらコメント欄、メールにお願いいたします。

 
 
 

最新記事

すべて表示
Revitのコンテンツ動画について

みなさまこんにちは。 いつもブログをご覧いただきありがとうございます。 年明けより、revitの動画を作成していこうと考えているのですが みなさまどのような動画がご希望でしょうか? 一般的なチュートリアル ファミリの作り方...

 
 
 

Comentarios


bottom of page